小人のビット君

 ぼくは、小人のビットです。

 友だちのつばめさんを待っています。

 忘れ物は、ないね。

「草のハンカチ、いがのぼうし、木と葉でできた傘」  

  そしてつばめさんを呼んで出発です。

 「空を飛んでいるのは、すずしくて気持ちがいいな」 とビット君が言いました。

 その時、虫が囲んでいるすき間からビット君ぐらいの背をした女の子の姿を見かけました。

「何をしているのかな。下へ下りてみよう」 とビット君は言って下りてみました。 

 

 その子は、楽しそうにおどっていました。

 見ているうちにビット君は、その子とおどりたくなりました。

 そしてさそって二人でおどりました。

 二人で楽しくおどっていると、つばめさんがやって来て 「もう暗くなるから帰りますよ」 と言いました。

「えー!もう帰っちゃうの?もっとおどっていたかったのにー」

 涙をこらえて女の子に別れをつげようとしました。

「ちょっと待って。わたし一人だから心細いの」 と言って女の子がかけて来ました。

 つばめさんの背中からビット君が手を伸ばしました。

 女の子は、思い切ってジャンプしました。

 ビット君は、その手をつかむとひっぱり上げました。そして乗せてあげました。

「気持ちがいいだろ」 とビット君が言いました。

「気持ちいいよ」 と女の子が言いました。

 つばめさんに 「もうそろそろ家に帰りたいんだけど」 と言うと、向きをかえてすごいスピードで飛んで行きました。

 あっという間に家に着きました。

 

 三日後、虫たちのあつまっている場所で、おいわいをしました。

 もちろんつばめさんも呼んで。

 そして女の子に草の指輪をプレゼントしました。

 女の子の方も大満足です。

 みんなの祝福をうけました。

 そしていつまでも楽しくしあわせに末永く、くらしましたとさ。 (めでたし めでたし)