うら島太郎

 昔々ある島にうら島太郎という名の若者がおったそうな。

 毎日つりに行っては、ゆうがにくらしていました。

 そんなある日のこと、子どもたちが何かをいじめているのをみつけました。

よく見てみると そこにいたのは亀でした。

うら島太郎は、亀をかつぐと もうダッシュ。

子どもたちも追いかけては来たけど、うら島太郎の足には追いつけなかった。

そして亀は、目を回していました。気が付いたのは、浜辺でした。

うら島太郎が 「もうつかまるんじゃないよ」 と言うと亀は、水にもぐって行きました。

 

何日かたったある日、毎日のようにつりざおを持ってつりに出かけると、とつぜん

亀が浮いて来て うら島太郎を連れ去って行きました。

「ひーっ、どこ行くのー」 

あっけにとられているうちに、海の中をどんどんもぐって行きました。

「ぐふ、いっ息がもたん」 と思ったとたん城のような物が見えました。

そのとたん大きな泡に入りました。そしたら息ができました。

「はあ、死ぬかと思った」 とうら島太郎は、いいました。

 

下りてしばらく行くと見たこともないごう邸がありました。

うら島太郎は、ノックをしてみました。

すると 「どなたですか?」 と声がして女の人が出てきました。

それで上がって楽しくすごしました。

しばらくして 「もう帰りたいな」 と言いました。

おみやげに小さなつづらをもらいました。

女の人は、「けして開けては、なりません」 と言いました。

 

陸に上がると家がありませんでした。

残されたのは、うら島太郎一人だけ。さみしくなりました。

そして女の人からもらったつづらに何が入っているのか気になりました。

それで 「おーい亀ー出てきておくれ」 と呼びました。

そしたら亀が出てきました。

ふたたび亀に乗ると息をすって水の中に入って行きました。

 

城の中に入ると女の人がいました。

うら島太郎は、「いったい何が入っているのですか?」 と聞こうとした時、

何かにつまづいてしまいました。

「おっとっと」 と言って女の人につづらをぶちまけてしまいました。

けむりが出て、女の人は たちまちおばあさんの姿になりました。

「あーれー」 と言いながら。

そしてうら島太郎は、「じゃ」 と言って亀に乗って帰って行きました。

そして家を建てて いつまでも幸せにくらしましたとさ。  (めでたし めでたし)